自分軸がない人

Sさんは、丸顔のとても透明感のある若い女性で、小売店の販売スタッフとして働いていました。

 

「どこか体に不調がありますか」と聞くと、「肉体的には特に問題はないけれども、どちらかというと、精神的に自信がない」ということでした。

 

自信がないといっても、具体的にどのように自信がないのですか、と聞くと、要するに、性格的に弱く、人に影響されやすいので、確かな自分の感覚を持ちたいということだということでした。

 

実は、その感覚は、私自身も実体験がありました。「自分に自信がない」というのは、「自己イメージがはっきりしていない」ということで、それは「自己肯定感がない」「確固たる自分軸がない」ということと関係があります。それが、「もっと強くなるにはどうしたらいいのか」という問題意識になります。

 

自分についての信念が固まっていないので、エゴの強い人と向き合うと、念の力で負けてしまいます。そのために、いろいろと傷つきやすいのです。

 

本来は、自分の「内側からのうずき」によって、「自分の意志」で個性を発揮して、自分の力を確認しながら、地道な努力をして、実績を積んでいけば、自然に「自信」はつくようにできています。そうならないのはなぜかというと、誰かの価値観によって、「本当の自分」からくる疼きを無視していると、傍目にはいくら立派な、良いことをしているように思えても、自分の「自信」にはなっていきません。

 

ですから「自信」の問題は根が深くて、人から言われたことではなくて「自分軸を持つ」ことが、最初にしなくてはいけないことだと思います。そこを変えないで、ヒーリングウェーブの「自信」の音を浴びたとしても、効果は期待できません。

 

私自身、若い時に、自信のなさを克服しようと「潜在意識に働きかけるアファーメーションのテープ」を何十個も買い込んで、聴いていたことがありました。結論から言うと、よく効くものもありました。でも、「自信」と「恐れ」については、一時的なもので、自分の人格については、ほとんど効果がありませんでした。

 

ただ、誤解しないでいただきたいのですが、これは、ヒーリングウェーブの音が効くか効かないかという話をしているのではないということです。ヒーリングウェーブの音は、意識の波長をチューニングするので、「自信」の波動に同調すれば、一時的にそのパラレルに移動するので、自信のある自分の感覚を味わうことはできると思います。

 

今の自分の、自信のなさの原因が、自分軸を持っていないことだと言うことを、頭でも理解できれば、その感覚と「自分軸」の知識が結びつくので、今度は「自分軸に戻ろう」という思考だけで、その元々の感覚を体験するパラレルに移動することができるようになるのではないかと思います。

 

いわば、ヒーリングウェーブの音は、自転車の補助輪のようなものだと思っています。自転車になったことがない人が、とにかく乗ったつもりになってみるために、補助輪があります。同じように、「自信がある人」のつもりになってみる。自分の霊性を進化させるには、とにかく「ふりをしてみる」ことが大事で、そのための補助をしてくれます。

 

根本的には、「自信を持つ」ためには、「自分軸を持つ」ことが必要で、そのためには、「自分が何者か」という理解をバージョンアップする必要があります。

 

自分を物質である身体、せいぜい精神だと思っている自己認識を、魂、つまり神のエネルギーの一部であると定義し直せばいいのです。「魂レベルで生きる」ことを、感覚として掴む必要があります。

 

別の言葉で言うと、Sさん自身に、彼女のハートの奥、魂の中にある「神の一部」である「神性」を発見してもらい、それをよりどころにしてもらうこと。

 

Sさんへの方針がまとまったので、セッションを始めました。

最初に、チャクラの音を1分ずつ、合計7分かけました。

次に、霊的癒しの音を3分かけた後、「愛と金銭と個人的魅力」の音を10分かけました。

チャクラは、エネルギー体を整えるために、必ずかける音です。霊的癒しは、魂が傷ついているはずだから。愛と金銭と個人的魅力の音は、鈴木さんに良くなってほしいと言う、私の愛の思いを、音に乗せたものです。こんなにいい子なのだから、元気になってほしいという思いで、最強の音のコンビネーションをプレゼントしました。

 

ヒーリングウェーブの音をかけながら、彼女に、自分のハートの中の「神の子」を開く方法を教えました。

 

「ハートの奥には、全ての自然と宇宙を作った、神と同じエネルギーが流れています。それは、全てをありのままに受け入れて生かしめる、圧倒的な、愛のエネルギーです。自分のハートの奥には、宇宙、つまり神と繋がっている部分があります。私たちは、頭で考えていないのに、テレビドラマを見て、知らずに涙が出たり、困った人を見ると、思わずその人を助けたいと思って、思いや理のある行動するような、そういうピュアな部分を持っているでしょう。自分の中には、そう言う、嘘のつけない自分がいるということが、私たちが、神性を分け与えられた、神の子である証拠なんです。

 

その聖なる、ピュアな自分、剥き出しの、愛の思いそのままで生きる自分が、本当の自分で、それが魂なんです。魂からの疼きを、素直に表現することが、本来の自分に立ち返ることなんです。何か形のあるもの、例えば、地位とか学歴とか、そういうものは、ほんとうの自分ではなくて、ただの自己イメージに過ぎません。そういうものは、死ぬ時に、あの世に持って帰れません。だから、地上的なものには、執着しないほうがいいんです。形あるものを求めても、わたしたちの魂は、決して満足することはできないのだから。

 

でも、いつでも剥き出しの自分で生きていると、心ない人の言葉に傷つけられることもあるかもしれません。そういう危険を感じた時には、大きなダイヤモンドを思い浮かべて、ハートのところに入れると良いです。ダイヤモンドは一番硬いので、例えナイフで斬り付けられても傷つけられることはありません。

 

実際に、霊的に見たら、私たちの心の本質は、神そのものなので、ダイヤモンドのように堅牢で、純粋で、光輝く存在なんです。私たちは、宇宙が自分の「無限の可能性」を表現するために分かれた媒体です。私たちは「無限の可能性」そのものなので、そこにネガティブな要素は全くないんです。だから、ダイヤモンドのような存在なんです」

 

Sさんに、大体こういうような話をしました。鈴瀬さんは、僕の話を聞きながら、意識をハートに向けて見て、「わかる」と言いました。ダイヤモンドをハートの中に入れる話をすると、すぐにその場で試してみて「ああ、そうか、ダイヤモンドを入れればいいのか!」と言いました。ハートにダイヤモンドを入れるイメージをすると、その瞬間から、弱い自分はどこかに消えて無くなります。実はこんなに簡単なことなのです。ただし、ダイヤモンドを入れる前に、「剥き出しの愛である自分」を開いておくことが必要です。鈴瀬さんは、もともとピュアな心で生きている人だったので、すぐにそれができたのです。

 

彼女が、ハートの中に、彼女自身の、光輝く神の子の本質を発見した瞬間でした。「とてもいい話を聞いた。この話をもっと早く知りたかった」とも言いました。

 

 

「私は二つのところで働いていて、一つはみんなが優しい人ばかりなのでいいのだけれども、もう一つのところはそうではないので、これはとてもありがたい」と言われました。

 

Sさんが、私の話を受け入れてくれたのは、たまたま彼女に「自信を持ちたい」という強い願望があったからです。でも「嘘のつけない自分がハートの奥にある」という言葉を、彼女がすぐに理解できたことが一番の理由です。逆に、この言葉の意味が理解できるような人であれば、誰でもすぐに神の子である自分を発見できます。難しい知識はいらないのです。